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『奴隷であっても自由人であっても、良いことを行えば、それぞれ 主からその報いを受けることを、あなたがたは知っています。』(エペソ人へ手紙6章8節)
説教要旨
「良い業に主が報いて下さる」エペソ人への手紙6章5~9節(新約391頁)
先週に引きつづき、エペソ人への手紙を見て参りましょう。これまで、「キリストを恐れて、互いに従い合いなさい」(エペソ5・21)という事を、夫婦関係(5・22~33)、親子関係(6・1~4)の関係の中で学んで来ました。「恐れて」とは「畏敬の念をもって」という事でした。イエス様は神でありながら、私たちの罪を背負って、身代わりに死んで下さいました。私たちはこのキリストのおそるべき愛の故に、キリストへの畏敬の念をもって、キリストに信頼してその愛の教えに従い、隣人を愛し、罪を犯すことは別にして、隣人に従い仕えるのです。キリスト様が私たちを愛して仕えて下さったように、夫婦関係、親子関係において、互いに愛し合い仕え合うのです。そして、それは今日取り上げられている社会生活においてもあてはまります。
先日、教区総会におきまして教区長よりメッセージをお聴きする中で、ゴスペル(福音)ソングのルーツについてのお話がありました。イエス様を信じて救われてもなお苦しみの中にあった黒人の方々が、苦しみの中で、ゴスペルを歌いながら、天の御国を覚えていたと言います。さらにネットで調べると次のような記事がありました。「アメリカ合衆国で奴隷制度が合法化されていた17世紀半ばから、憲法で公式に廃止される1865年までに多くの人々がアフリカ大陸から奴隷として連行されました。このようなアフリカ系アメリカ人は、彼らの宗教や文化を奪われ苦しい生活を強いられるなかで、キリスト教の福音(ゴスペル)に救いを求めたのです。魂の救済を願い、神に感謝と賛美を捧げるために密かに歌いはじめたのが、ゴスペルのルーツといわれています。奴隷制度が廃止されてからも厳しい人種差別は続き、アフリカ系アメリカ人は教会にも入ることができなかったため、独自の集会を開き礼拝を行いました。このような黒人教会で歌い継がれ、発展していったのがゴスペルでした。苦しい現実に耐え、明日への希望を見出すための魂の叫びが、神を讃え、神とともに生きる喜びの歌として表現されているのです。」。この世にあっては、イエス様を信じて後も、主従関係の中で、時に、苦しむ事もありうるのです。さらには、差別や格差といった力関係も生じます。
当時ローマ帝国の支配下にありましたが、そこでは自由人と奴隷人という差別が存在しました。自由人が奴隷人をおどして、従わせるのが常習化していたのです。ですから9節に「主人たちよ。あなたがたも奴隷に対して…脅すことはやめなさい。」と記されています。しかしパウロはまず奴隷に対してキリストの僕である事を示し、主に対するように真心から、地上の主人に仕えるように示します。すなわち、5~7節。「奴隷たちよ。キリストに従うように、恐れおののいて真心から地上の主人に従いなさい。ご機嫌取りのような、うわべだけの仕え方ではなく、キリストのしもべとして心から神のみこころを行い、人にではなく主に仕えるように、喜んで仕えなさい。」。
そして何と驚くべき事に、この時代で、主人に対しても同じように奴隷を愛して仕えていくべき事を示します。9節。「主人たちよ。あなたがたも奴隷に対して同じようにしなさい。脅すことはやめなさい。あなたがたは、彼らの主、またあなたがたの主が天におられ、主は人を差別なさらないことを知っているのです。」。今でこそサーバントリーダー(仕えるリーダー)と言う言葉を聞きますが、今からおよそ2000年前の奴隷制度の時代に驚くべき教えです。それは神は人を差別しないから(9)、というところから来ています。
そして、神は良い行い(例えば「人に良く仕える」)を見ていて下さり、良い報酬を与えて下さるからです。8節。「奴隷であっても自由人であっても、良いことを行えば、それぞれ主からその報いを受けることを、あなたがたは知っています。」とあります。この世の制度や常識や身分立場がどうであれ、神の御前に正しく生き、神に従って、良い行いをもって人に仕えるなら、その人に、神が必ず公平に報いて下さる。だから、自分の立場や身分や評価や待遇がどうであれ、いつも、主なる神様、主イエス・キリスト様に対するように真心から、主の御心に従って地上の主人に仕える事が教えられています。
神の御言葉に聞き、祈り、従って、自分の立場がどうであれ、神のしもべ、キリストのしもべとして、主にあって、隣人に仕えつつ、生活致しましょう。
(祈り)天の父なる神様。いつも主の御前に生き、主に対するように心から喜んで、主にあって、地上の主人にお仕えしていくために、主の謙遜を教えて下さい。良い行いを主が見ておられ、報酬を下さる事を感謝致します。イエス様によって、アーメン。
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