説教要旨「平和をつくる者は幸い」マタイ5章3~9節(新約聖書p6)
8 月6 日には広島に、8 月9 日には長崎に、それぞれ原爆が投下され今年で
80年。被爆者が次々と息を引き取られ、その体験を直接お聴きできなくなる時
が迫っています。しかし核兵器の脅威と核戦争のリスクは今なお残り続けていま
す。被爆による後遺症等で心身が傷ついている方のお慰めと癒しと平安を祈りつ
つ、「平和をつくる者」にしていただきたいという思いを新たにさせられます。
今朝、改めて、主イエス様の山上の説教、特に5 章9節に注目します。
1.今日の御言葉の背景(マタイ5・1~8)
主イエス様は、3~4節で「心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たち
のものだからです。悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるからです。」
と語られます。まず自分の罪や足らなさという心の貧しさを自覚し、それを悲し
み、救いを求めて主イエス様に信頼します。そして神のご支配(天の御国)に受
け入れられて救われます。そして主なる神からの慰めを受けます。だから幸いな
のです。この「幸いです」は主イエス・キリストの救いにあずかった人たちだけ
に与えられるキリストの弟子の性質と祝福を指しています(ウェスレアン聖書注解
p32)。イエス様は全ての人をその幸いに招いておられます(マタイ11・28~30)。
5 節では「柔和な者は幸いです。その人たちは地を受け継ぐからです」と語ら
れます。柔和な者とは主イエスを信じて救われ、神に慰められ、神とその御旨に
信頼して忍耐深く従う人です。その人は「地を受け継ぐ」。すなわち、神の国の
嗣業を受け継ぐのです。6 節は「義に飢え渇く者は幸いです。その人たちは満ち
足りるからです」。「飢え渇く」は強調表現で「渇望」の意。ここでの「義」と
は「神のとの正しい関係」、「救い」、「きよめ」(キリストの様に生きる事)、
さらに神ご自身です。霊的渇望は本質的に誰もが抱えていて、唯一真の神によっ
てのみ満たすことできます。そして神の恵みの豊かさ故に、さらに神を慕い求め
るようになります。そしてその渇望は神によって満たされるので「幸いです」。
7 節。「あわれみ深い者は幸いです。その人たちはあわれみを受けるからです」
と語られます。これは憐みの気持ちだけでなく、実際に、必要に応える行動を伴
う憐みです。神の憐みは神の独り子イエス様をも与える程の最高の憐みです(ヨ
ハネ3・16)。主イエス・キリスト様を信じて、この神の憐みを知った人は、神
様の愛と赦しを受け取って「あわれみ深い者」と変えられていきます。その「あ
われみ深い者」を神様はさらに憐れんでお恵み下さり、良くして下さいます。
8 節。「心のきよい者は幸いです。その人たちは神を見るからです」。「神を見
る」とは第一に、この世で、心で霊的・人格的に神を知るという事です。第二に、
天国で神と顔を合わせて見るという事です。「神を見る」人とは「心のきよい者」
です。罪は神との関係を損ない、神を知る事を妨げます(イザヤ59・2)。人はそ
の罪の故に「心のきよい者」に自分の力でなれません。しかし主なる神はその解
決として、独り子の神である主イエス様をこの罪の世に遣わします。独り子なる
神、主イエス様は私たち全人類の罪を身代わりに背負って、十字架で父なる神の
怒りの刑罰を身代わりに受け血を流して死なれます。この主イエス様の十字架の
死によって主イエス様を信じる者の罪が赦され、きよめられる道が開かれました。
主イエス様を信じて心に主イエス様を主として王としてお迎えする時から御
子イエスの血は罪をきよめ続け(Ⅰヨハネ1・7)、同時に、その人の心の中に
神の聖霊が宿り、心をきよめてゆかれます。そしてその人も聖霊のお導きとお働
きとにより、自らの二心を悔い改めて一心に主なる神を求める時、「心のきよい
者」と神がして下さり、この世でも神を霊的人格的に知り、幸いになります。
2.平和をつくる者は幸い(マタイ5・9)
1~8節を踏まえて9節。「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子
どもと呼ばれるからです」。「平和」とはヘブル語で「シャローム」で「人間の
最高の幸福をつくり出すすべてのもの」とユダヤ人は理解していました。この「平
和」の根源は神にあり、父なる神に遣わされた主イエス様はまさに「平和をつく
る者」です(ローマ5・1,エペソ2・15~18)。主イエス様を信じる者は、
主イエス様の十字架での身代わりの死の故に、罪の赦し、神との和解と平和にあ
ずかります。そして聖霊によって神とその御旨に従う「柔和な者」(5)となり、
神と共に働いて「平和をつくる者」とされ「神の子ども」と呼ばれる様になるの
で幸いです。「神の子ども」とは「父なる神の性質を持つ者」の意味です。その
最たるお方は、主イエス様であり、私たちの最高の模範です。
(祈り)主なる神様。イエス様を信じる者にあなたとの平和を与え下さり感謝します。どう
か私たちをさらにあなたの子どもにふさわしい「平和をつくる幸いな者」にして下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿